はじめに
先生方、毎日のお仕事本当にお疲れ様です。授業の準備や成績処理、そして個別の子どもたちへの対応など、息をつく暇もない日々を送られていることと思います。
さて、前回の記事では、日本の多くの学校で校内研修が「こなすもの」「やらされるもの」として形骸化してしまっている現状と、それを打破するための根本的なマインドセットについて書きました。
(※ここに前回の記事のリンクを挿入:[【研究主任必見】マンネリ化した校内研修を変える!形骸化を防ぐ根本的な「アイディア」])
前回お伝えした最も大切なポイントは、「研修は『目的』ではなく、子どもたちが輝くための『手段』である」ということ、そして「職員室のチーム力を底上げするための場である」ということでした。
この記事を読んで、「確かにその通りだ!」「うちの学校も目的を見失っていたかもしれない」と共感してくださった研修担当や研究主任の先生も多かったのではないでしょうか。
しかし、次に必ずぶつかるのがこの壁です。
「考え方はわかったけれど、じゃあ具体的にどんな『進め方』をすればいいの?」
「明日から取り入れられる具体的な『アイディア』が知りたい!」
そこで今回は、前回のマインドセットを具体的な形にするための【実践編】をお届けします。特別な外部講師や、準備に何日もかかるような難しいワークショップは必要ありません。
いつもの校内研修の最初の15分〜20分を使って、職員室を一つの強固なチームに変える「対話型研修の進め方」をご紹介します。
校内研修の新しいアイディア:「個のインプット」から「チームビルディング」へ
具体的な進め方をお話しする前に、先生方に一つ質問です。
「あなたの学校の『学校教育目標』や『目指す子ども像』を、今ここで具体的に言うことはできますか?」
「えっと……自ら学び、心豊かで……」と、少し言葉に詰まってしまった方も少なくないはずです。年度初めの職員会議で校長先生から提案された時や、職員室の壁に貼ってある掲示物をふと見上げた時くらいしか、意識する機会がないというのが学校現場のリアルではないでしょうか。
この「学校が目指す方向性」の認識が薄いとどうなるか。
日々の教育活動が「学年」や「教科」、あるいは「先生個人の裁量」に完全に任せきりになってしまいます。個々の先生の指導力が高くても、学校全体として子どもを多面的に支える「組織としての力」が弱くなってしまうのです。
そこで提案したい校内研修のアイディアが、研修の時間を「個人の資質向上(インプット)」の場から、「組織としてのチームビルディング」の場へと変えることです。
日常の忙しさの中で見失いがちな「私たちはどこを目指しているのか?」というベクトルを、対話を通してすり合わせていく。これこそが、今一番求められている校内研修の形です。
進め方の最重要ポイント!「あえて混ぜる」グループ編成のアイディア
この対話型研修を成功させるための進め方において、最も重要になるのが「事前のグループ編成」です。
校内研修でグループを作るとなると、つい「同じ学年の先生」「同じ教科の先生」など、同質性の高いメンバーで集まりがちですよね。普段からコミュニケーションを取っているので話しやすいというメリットはあります。
しかし、今回のチームビルディングを目的とした研修では、その壁を思い切って取っ払って「ごちゃまぜ」にしてください。
- 学年を横断する(例:1年生の担任と6年生の担任を同じグループにする)
- 教科を混ぜる(中学校なら、国語・数学・美術などバラバラにする)
- 経験年数を混ぜる(ベテランと若手を同じグループにする)
なぜ、あえて混ぜるアイディアが有効なのでしょうか?
それは、1年生の担任から見た子どもの姿と、6年生の担任から見た子どもの姿は全く違うからです。中学校であれば、教科ごとに見せる生徒の顔は大きく異なりますし、ベテランと若手では課題の捉え方も違います。
この「見え方のギャップ」こそが対話における最大の宝であり、先生方の「気づき」を生み出す最高の種になるのです。つまり、先生方の「違い」があるから成り立つ学びへと変わるのです。

対話を生み出す校内研修の進め方・3つのステップ
多様な視点を持つグループができたら、いよいよ具体的な取り組みに入ります。全体会などの最初の15分〜20分を使って、以下の3つのステップで進めてみてください。
事前準備:対話のテーマ(目指す子ども像)を設定する
まずは、対話の軸となるテーマを一つ決めます。学校の教育目標や研究主題から引っ張ってくるのがおすすめです。
例えば、目指す子ども像が「自ら学びに向かう生徒」であれば、「私たちの学校における『学びに向かう力』とは、具体的にどんな姿だろうか?」というテーマを設定します。
Step 1:リアルな「子どもの実態」を出し合う
最初のステップでは、それぞれの先生方が日々感じている「今、目の前にいる子どもたちのリアルな姿」をテーブルに出し合います。
「うちのクラスの子は、タブレットを使った活動の時はすごく集中しているよ」
「でも、少し難しい文章題になると、すぐに諦めちゃう子が多いんだよね」
「休み時間は自分たちで工夫して遊べているんだけどな」
学年や教科、立場が違うからこそ見えている「多面的な子どもの姿」を共有します。ここでは「良い・悪い」を評価せず、まずはフラットに現状を出し合うことがポイントです。
Step 2:理想の姿を「自分たちの言葉」で再構築する
現状を共有した上で、Step 2では「理想の姿」について語り合います。
「今の現状はこうだけど、私たちが目指す『学びに向かう力』を持った生徒って、本当はこういう姿だよね」
「壁に貼ってある教育目標の言葉って、日々の教室の場面に置き換えると、こういうことじゃないかな?」
お仕着せの堅苦しい言葉を、先生方自身の生きた言葉で「再定義・再構築」していくのです。対話を通して、形骸化していた目標が「自分たちの共通の目標」へと変わっていきます。
Step 3:明日からの「具体的な行動」を決める
最後のステップでは、「じゃあ、明日から私たちに何ができるだろう?」を話し合い、アクションを決めます。
ここで重要なのは、ハードルを極限まで下げることです。壮大な指導案を作る必要はありません。
「明日から、帰りの会で子どもたちに〇〇という声かけをしてみよう」
「職員室に戻ったら、今日見つけた子どもの良いところを隣の先生に一つ話してみよう」
といった、明日からすぐにできる小さな一歩で十分です。自分たちで話し合い、納得して決めたことだからこそ、やらされ感なく実践に移すことができます。

このアイディアが職員室を「最強のチーム」に変える理由
「対話型なんて言うと大層に聞こえるけれど、ただのおしゃべり会になってしまわない?」
そう心配される研修担当の先生もいるかもしれません。
しかし、先生方は本来、こうした「子どもたちについての前向きな話」が大好きなはずです。普段の職員室でも、時間を見つけては熱心に語り合っている風景を見かけますよね。
その「価値あるおしゃべり」を、意図的に研修という場に位置づけ、継続的に行うこと。これこそが、この進め方の最大の肝です。
この研修を積み重ねていくと、職員室に確実な変化が起きます。
- ビジョンの共有: 「うちの学校はこういう生徒を育てたいんだ」という方向性が、対話を通してだんだんと揃ってきます。
- 相互理解と共感の広がり: 「あ、隣のクラスの先生も同じことで悩んでいたんだ」「あの先生のあの子への見方、すごく勉強になるな」という気づきが生まれます。
- 孤立の防止: 学年や教科を超えて子どもの話を共有できる関係性が構築されることで、担任の抱え込みを防ぎ、心理的安全性の高い職場になります。
新しい指導法を学ぶ研修ももちろん大切です。しかし、その土台となる「私たちはどこを目指しているのか」「今、子どもたちをどう見ているのか」を共有する時間こそが、今の学校現場には必要不可欠です。

まとめ:「個人の実践の寄せ集め」だった職員室が、子どもたちを真ん中に置いた「一つの強固なチーム」へと変わっていく
今回は、1つの例として紹介させていただきましたが、それぞれの学校の事情に合わせて、グループの人数や時間の取り方は柔軟にアレンジしてみてください。先生方同士の「温かい対話の場」を創り出すこのアイディアが、皆さんの学校をより良いチームへと導く一助となれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。研修担当としての先生の新たなチャレンジを、心から応援しています!
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