イベント報告

【開催報告】3学期の体育 × ゴール型 実践シェア会ー1人も独りにしない「体育の質」を追求する

イベント報告

はじめに

1月16日、教育コミュニティ『ジーニー』主催
「3学期の体育 × ゴール型 実践シェア会」を開催しました。

3学期の山場となるボール運動単元を前に、
小学校・中学校・高校と校種を越えた教員が集まり、
現場の悩みと具体的な解決策を率直に持ち寄る時間となりました。

本イベントの根底にあるのは、
主催者・りゅう先生の
「1人も独りにしない(誰一人取り残さない)」 という教育観です。

中学校体育を10年経験後、小学校へ転身したりゅう先生。
競技性 と 学級経営 の両方を知る立場だからこそ、
対話には専門性と温かさの両方がありました。

ジーニーが大切にしているのは、
成功事例を並べることではありません。

正解を押し付けず、対話を通して実践知を構造化すること

弱さや失敗も共有できるからこそ、
「明日の授業を変える手立て」が見えてきます。

チーム編成は「準備」ではなく戦略

ゴール型運動において、チーム編成は授業の成否を左右する重要な介入です。
参加者の対話から、子供の自尊心と納得感を守る工夫が共有されました。

主体性と配慮を両立させるドラフト制

北海道の雄剛さん(小学校)が提案したのは、
キャプテンを子供たちで選び、ドラフト形式でチームを編成する方法です。

ここで重要な補足を行ったのが、高校のねこさん。
ドラフト形式で最後に残る子が
「自分はいらない存在だ」と感じてしまうことを防ぐため、

最後の5〜6人になった段階で
あらかじめ2人ペアを作らせてから選ばせる
という具体的な工夫が共有されました。

データに基づく客観的チーム編成

中学校・高校の現場からは、
よりエビデンスを重視した手法も紹介されました。

ザッキー先生(中学校)は、
前年度の技能評価やスポーツテストの結果を基に
教師がチームを編成し、その根拠を生徒に明示。

技能差による不満を抑え、
納得感のある授業運営につなげています。

「いらない」と言わせない教師の責任

ザッキー先生が繰り返し強調したのは、
「運動が苦手な子が望まれない形でチームに入る地獄を、絶対につくらない」
という姿勢です。

教師が責任をもってバランスを調整することで、
技能に関わらず安心して参加できる
心理的安全性の土台が築かれます。

「できるようにする」前に「楽しい」をつくる

議論の中心となったのは、
競技の本質的な楽しさから設計する
バックワード・デザイン の考え方でした。

ガッツポーズから始める導入

ねこさん(高校)が実践しているのは、
ボールを持たずに理想のゴールシーンを演じ、全力でガッツポーズをする
という導入です。

技能の習得と成功体験をあえて切り離すことで、
「できないかもしれない」という不安を下げ、
運動への心理的ハードルを一気に取り除いています。

研究を土台にした単元づくり

ザッキー先生は、
CiNiiを活用し、大学研究や附属校の実践研究を
まず 完コピ することから始める手法を紹介しました。

また、フカミズ先生(小学校)からは、
各都道府県の体育研究会(東京都など)の指導案を
自校の実態に合わせてカスタマイズする利点
が共有されました。

経験だけに頼らず、
研究と実践を往還すること。

それこそがプロの授業設計だという共通認識が生まれました。

校種を越えた対話が見せた「体育の本質」

小・中・高の教員が一堂に会したことで、
校種間の考え方の違いも率直に語られました。

「小学校の簡易化されたゲームは、本来の競技ではない」
という指摘に対し、ザッキー先生は次のように語ります。

大切なのは、種目そのものを教えることではなく、
その種目を通して何を学ばせるのか

役割理解、コミュニケーション、集団の中での関わり。
そこに体育の本質があります。

また、大規模校では
学年内でのルールや評価指標の統一が不可欠であることも議論されました。

共通の出口(学年対抗戦など)を設定し、
教員同士が対話を重ねること。

それが質の高い体育教育を支える基盤になります。

環境を整えることも教師の仕事

ICTで「評価の納得感」をつくる

8クラスを担当するみこ先生(中学校)は、
Chromebookを使った動画撮影とフィードバックを実践。

生徒と同じ映像を見ながら
「なぜこの評価なのか」を確認することで、
評価への不満が減り、
自己課題を客観的に捉える力が育っています。

スマイルボールが変える参加率

スポンジ製の スマイルボール(ミカサ)は、
「痛い」「怖い」という物理的な壁を取り除く教具です。

特に女子や運動が苦手な子の参加意欲が大きく向上します。

技術指導の前に、環境づくり。
明日からすぐに実践できる支援です。

おわりに〜孤独な実践から、つながりの中の実践へ〜

今回のシェア会で明らかになったのは、
対話を通して
個人の悩みが「共有できる知」へと変わっていくプロセスでした。

教育コミュニティ『ジーニー』は、
単なる情報交換の場ではありません。

「できていない自分」を認め合い、
専門家として学び続けるための
心理的安全性が守られた場所
です。

孤独に授業案を考える時間は、もう終わりにしませんか。
共に学び、
1人も独りにしない体育 を創っていきましょう。

【編集後記】

遊び心(ねこさんのガッツポーズ)と
アカデミックな厳密さ(ザッキー先生の研究活用)。

この両輪を回し続けることこそが、
多忙な日々の中で
私たちの専門性を守る道なのだと、改めて感じました。

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