2025年12月27日、記念すべき 第10回社会科オープンサロン が、東京・秋葉原での対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式で開催されました。
年末の多忙な時期にもかかわらず、会場・オンラインともに多くの教育関係者が参加し、「小中のつながりを意識した社会科授業で大切にしたいこと」という極めて本質的なテーマについて、熱量の高い対話が交わされました。

本サロンには、
小学校から
- 横田 富信 先生(世田谷区立代沢小学校)
- 宗實 直樹 先生(関西学院初等部)
中学校から
- 小田 和也 先生(新潟県佐渡市立中学校)
- 川端 裕介 先生(北海道八雲町立中学校)
という、各校種を代表する実践者が登壇。
司会進行は
- 椎井 慎太郎 先生(佐渡市立新穂小学校)
日々の授業に根ざした 具体的な実践 と 揺るぎない教育観 が惜しみなく共有されました。
本レポートでは、当日の発表と座談会の要点を整理し、社会科教育に携わるすべての先生方にとってのヒントをお届けします。
第1部:テーマ発表〜4人の講師から実践発表!〜
「小中のつながり」を意識した実践報告
第1部では、4名の先生方がそれぞれの立場から、小中接続を見据えた社会科授業の実践を紹介しました。
共通していたのは、「知識を教える」ことにとどまらず、子どもが社会をどう捉え、どう考えるか を育てようとする姿勢でした。
横田 富信 先生(小学校)
横田先生は、表層的な情報や短絡的な批判があふれる現代社会への危機感から話をスタート。
社会の出来事を 多面的・多角的に捉える力 を育てるための、6年生歴史授業の実践を紹介しました。
実践① 江戸幕府の単元
江戸幕府が260年続いた理由を
「大名統制」「鎖国」「身分制度」の3点から学習したうえで、
「自分にとって最も重要だと思う要因」を円グラフで表現。
学習が進むにつれて判断が変化していく様子を可視化し、知識を関連づけて考える力を育てました。
実践② 文化史の単元
国風文化・室町文化・江戸文化を単発で扱うのではなく、
「文化の担い手」に着目して比較・関連づける授業を展開。
ロイロノートを活用し、過去のノートをコピーして参照させることで、学びの連続性を意図的に設計していました。
横田先生は、小学校段階から「意味」「影響」「効果」といった 抽象概念 を扱うことが、中学校での学びを支える土台になると強調しました。
宗實 直樹 先生(小学校)
宗實先生は、国産車と海外メーカーのエンブレムの違いという意外な切り口から話を展開。
そこから、社会科が子どもたちに示すべき 社会科ならではの世界観 と、その核となる 中核概念 の重要性を語りました。
宗實先生が提唱したのは、教師に求められる 概念的指導力。
それは、
- 本質を見抜く「玉を掴む力」
- それ以外を思い切って削ぎ落とす「うんと捨てる力」
の両立だと言います。
例えば「農業」という同じ題材でも、
- 小学校3年:地域社会の理解
- 小学校5年:日本の産業構造
- 中学校:社会構造や課題の分析
と、学年ごとに獲得すべき概念は異なります。
カリキュラム全体を俯瞰し、「今、何を掴ませるのか」を明確にすることの重要性が語られました。
小田 和也 先生(中学校)
「社会って、覚えることばっかでだるい」
小田先生は、ラーメン屋で耳にした女子生徒の一言を紹介し、中学校社会科が直面する課題を提示しました。
暗記科目というイメージを超え、社会を 考える教科 に変えていくことが使命だと語ります。
鍵となるのが、単元を貫く学習課題。
例えば歴史では、
「鎌倉時代と比べて、室町時代はどのような時代か?」
という問いを軸に学習を進めます。
この問いがあることで、生徒は常に比較し、根拠をもとに自分の考えを構築していきます。
小学校で身につけた「見方・考え方」の 解像度を上げる のが中学校の役割である、という言葉が印象的でした。
川端 裕介 先生(中学校)
川端先生は、地理の授業で扱った「白い恋人」の広告を紹介。
東京向けと北海道向けで異なるコピーが使われている理由を探ることで、
- 地域ブランド
- 地場産業
- 観光
- 企業理念
といった多層的な視点が自然に引き出されていきます。
身近で魅力的な教材だからこそ、生徒は 地域の見方・考え方 を使わざるを得ない。
複雑な社会概念も、題材次第で探究の対象になることを鮮やかに示した実践でした。
第2部:座談会
小中連携の「核」を探る
座談会では、「見方・考え方」や学習内容の重複など、小中接続の核心に迫る議論が行われました。
見方・考え方は「意識」から「活用」へ
大切なのは、知っていることではなく 使えること。
発問・資料・価値づけを通して、学習の中で繰り返し使わせることの重要性が共有されました。
学びの「かぶり」はチャンス
同じ題材を扱うことは無駄ではなく、
発達段階に応じて 異なる概念を掴ませる ための絶好の機会。
学びは螺旋状に深まっていく、という認識が確認されました。
小学校の「やりすぎ」は、次へのフック
高度な概念に触れることは、決して早すぎるわけではありません。
それは中学校での学びにつながる 大切なフック(きっかけ) になる、という点で意見が一致しました。
まとめ:明日からの授業に生かしたい3つのキーワード
- フック
次の学びにつながる問いや違和感を意図的に仕掛ける - 概念
事実を超えて、社会の構造を捉える視点を育てる - 玉
本質を掴み、思い切って捨てる教師の判断力
この3つは、「小中のつながり」を本物にするための確かな指針です。
イベント開催概要
イベント名:第10回 社会科オープンサロン
テーマ:小中のつながりを意識した社会科授業で大切にしたいこと
日時:2025年12月27日(土)13:00〜16:00
形式:対面(ふれあい貸し会議室 秋葉原)+オンライン(ZOOM)
登壇者:
宗實 直樹 先生/川端 裕介 先生/横田 富信 先生/小田 和也 先生/椎井 慎太郎 先生
主催・協力:教員コミュニティジーニー
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