新学期の授業開き、あなたは子どもたちに何を伝えていますか?
ルールも指標もないまま「とにかくやってみよう」では、子どもは迷ってしまいます。サッカーの初心者指導に例えながら、授業開きで大切にしている「聞く・話す」の意義を整理してみます。
【授業開きの心得】ルールなき授業は、ファールだらけのサッカー
スポーツが好きな方ならピンとくるはずです。近年はサッカーW杯やWBCの盛り上がりもあり、「自分もやってみようかな」と思った経験がある方も多いでしょう。
では、こんな指導をされたらどう感じますか?

「ほら、とりあえず試合やるよ!」

(え、いきなり? まあ楽しそうだしやってみるか)
―― 試合開始 ――

「ピッピー! それファール!」
「ピッピー! それオフサイド!」
「フリーキックも知らないの? それくらい当然でしょ」
ルールを教えてもらっていないのに、ファールを取られ続ける。
これでは「サッカーってつまらない」と感じてしまうのは当然です。
これは授業でも同じです。「何がダメなのかわからない」「どこを目指せばいいか見えない」状態で授業が進んでいくと、子どもは突然「ダメ!」と叱られたり、思ってもいないタイミングで褒められたりします。その繰り返しが、授業嫌いをつくっていきます。
スポーツも授業も、「ルール(指標)」を共有することがスタートラインです。何に気をつければいいのか、何を頑張ればいいのかが見えてはじめて、子どもは主体的に動けます。だからこそ、授業開きでの「説明」が重要になります。
「なぜ学校に来るのか」を問いかける
授業の最初に、わたしは子どもたちにこう問いかけます。
「みんなは、何のために学校に来るのですか?」
今の時代、高学年ともなれば「家でもYouTubeや動画で勉強できる」と知っています。にもかかわらず学校に来る意味を、子どもたち自身に考えてほしいのです。
そのときに注目してほしいのが、「友達の存在」です。
たとえば、こんな問いを投げかけます。
「隣の友達が同じ物語を読んで、どんな感想を持っているか、あなたは知っていますか?」
「鉄棒が上手くなりたい時、友達の練習方法から学べることがあるんじゃないかな」
「友達と喧嘩した時、仲直りのための言葉はどこで覚えましたか?」
子どもたちが生きていくこの世界には、一人では学べないことが無数にあります。知らないことは、人との関わりの中でしか学べません。
家庭での親子関係も大切な学びの場ですが、それはある程度「守られた関係」です。学校、とりわけ学級というのは、「たまたま同じ地域に生まれた、同じ年の子の集まり」にすぎません。はじめは共通点が少ない。だからこそ、リアルで多様な「人との関わり」が生まれます。
一緒に過ごす中で共通点が増えたり、違いを認め合ったりできる。その豊かさこそが、学校ならではの学びの場です。そしてその入口になるのが、「聞く」と「話す」という行為です。
【授業ルールの作り方】「聞こう・話そう」を授業の軸にする理由
わたしが授業開きで必ず伝えるメッセージがあります。
授業開きで子どもたちに伝えること
「話すこと・聞くこと」を授業の指標として明示することで、子どもたちは「何を頑張ればいいか」がわかります。発言することへの不安が減り、友達の意見を聞く姿勢が育ちます。
この問いかけをせずに授業に入ると、「人の話を聞きなさい!」「当たり前でしょう!」と、行動を求める指導ばかりをしてしまい、子どもとの関係がだんだんと崩れてしまうことも、、、
上記のような問いかけを丁寧に行い、授業開きでおこなうと、話をしている人の方を向く、「さっき○○さんが言ってたことと、つながるんですけれど、、」という発言が自然と出るようになりました。「聞く」ことを意識するだけで、子ども同士の学びの質が変わる——そう実感した瞬間でした。
これはスポーツで言えば「試合前にルールブックを渡す」のと同じです。ルールを知っているから、安心してプレーに集中できる。授業でも、指標を共有することが子どもの主体性を引き出す土台になります。
また、こうした問いかけは、子どもたちに「授業を受ける目的意識」をもたせることにもつながります。「なんとなく来ている場所」から「仲間と一緒に学ぶ場所」へと意識が変わるとき、授業の質は大きく変わります。
まとめ|授業開きは「設計図」を渡す時間
授業開きは、単なる自己紹介や教科書配りの時間ではありません。子どもたちに「この授業(クラス)での約束事・目指す姿」を伝える、いわば設計図を渡す大切な時間です。
ルールのないサッカーが楽しくないように、指標のない授業は子どもを迷わせます。「聞こう・話そう」というシンプルなメッセージを軸に置くだけで、授業の空気は変わります。
新学期のスタートに、ぜひ一度「なぜ学校に来るのか」を子どもたちと考えてみてください。その問いが、一年間の学びの土台になるはずです。
今日はこれでおしまい。
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