「今年の運動会、成功だったのかな?」
運動会が終わって、そうつぶやいたことはありませんか。
結果は出た。でも、あのクラスに負けた。
子どもたちは頑張った。
でも、まとまりきれなかった場面もあった。
「成功だった」と言い切れない自分がいる。
でも、わたしは思うんです。
運動会は「成功させるもの」じゃない。
「学級経営に生かすもの」だと。
この記事では、運動会を通じた学級経営の視点と、
子どもの成長を見取るための関わり方についてお伝えします。
「運動会が成功した」と胸を張って言えますか?
運動会が近づくと、「成功させなきゃ」というプレッシャーを感じる先生は多いと思います。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいんです。
「運動会の成功」って、何ですか?
勝ったクラスだけが「成功」したと言える?
リレーで1位になったクラスは成功で、
最下位のクラスは失敗なのでしょうか。
そう考えると、必ずどこかのクラスが「失敗」になります。
でも、それは本当に失敗なのか。
最下位でも、諦めずに走りきった子がいた。
転んでも立ち上がった子がいた。
バトンを渡した瞬間に、涙を流した子がいた。
その姿を見て、「失敗だった」と言える先生は、きっといないはずです。
「成功」を求めすぎるほど、教師は苦しくなる。
「成功させなきゃ」という思いが強くなるほど、
教師は子どもをコントロールしようとしてしまいます。
練習中に怒鳴ってしまう。
うまくいかないと焦ってしまう。
子どもの「やりたい」より「やらせたい」が先に立ってしまう。
「成功」の定義を外側に置くほど、教師も子どもも苦しくなっていきます。
学級経営にも、運動会にも、正解はありません。
だからこそ、一喜一憂せず、よかったこと・課題を冷静に見極めることが大切だと思っています。
「どうせムリ。」その一言が、クラスを止めてしまう。
運動会の練習が始まると、必ずと言っていいほど出てくる言葉があります。
「どうせムリ」
わたしのクラスでも、こんな場面がありました。
ダンスの練習が始まったとき、
「このダンス難しすぎてできそうにない」と言っていた子がいました。
でも、練習を重ねていくうちに、できるようになっていった。
振り返りには
「やってみたらできた。やってよかった」と
書いてくれていました。
やる前に「ムリ」と決めていたら、その経験は生まれなかったんです。
「ムリ」は本音。でも、そのままにしない。
「どうせムリ」という言葉を否定したいわけじゃありません。
「難しいな」「できるかな」という気持ちを持つことは、自然なことです。
問題は、その言葉を口に出すことです。
「ムリかも」はわかる。
でも「ムリ」と決めつけることで、挑戦しないまま終わってしまう。
できたかもしれないことを、最初から手放してしまうことになります。
心理学に「学習性無力感」という概念があります。
1967年にアメリカの心理学者マーティン・セリグマンが提唱した考え方です。
長期にわたって回避困難な状況に置かれた場合、
その状況から逃れようとする努力すらしなくなるという現象です。
「どうせムリ」という言葉が積み重なると、
子どもは挑戦すること自体をやめてしまいます。
やる前から諦めることが「当たり前」になっていくんです。
気持ちを持つことはいけないことではない。
でも、口に出すことの危険性は知っておいてほしい。
そう子どもたちに伝えています。
1人の「ムリ」が、クラス全体に広がっていく。
「どうせムリ」という言葉には、伝染力があります。
1人が「ムリ」と言う。
「あの子が無理なら、自分もやめとこうかな」
「どうせ勝てないし」
気づいたときには、クラス全体が諦めムードになっていた。
そんな経験、ありませんか。
「ムリ」はたった一言でも、
クラスの空気を一瞬で変えてしまいます。
光村図書の教育コラムでも、こう述べられています。
「随伴経験が少ない子どもや、非随伴経験が多い子どもの心の中には、
学習性無力感が芽生えやすい」
(参考:光村図書「子ども理解のそこ大事!第3回」)
「やっても無駄だ」という経験が積み重なるほど、
子どもは挑戦することをやめていきます。
そしてその空気は、クラス全体に広がっていきます。
だからこそ、「ムリ」という言葉をそのままにしておくことが危険なんです。
「やってもないのにムリは言わない。」
わたしは子どもたちにこう伝えています。
「やって無理だったら無理と言っていいよ。
やってもないのに無理っていうのはやめよう。」
やってみたら、できるかもしれない。
やってみたら、できなかったかもしれない。
でも、どちらも「やってみた」という事実が残ります。
やる前に決めることだけは、しないでほしい。
それだけを伝えています。
光村図書のコラムでは、学習性無力感を防ぐために
「やってみたらうまくいった」という
経験を増やすことが重要だと述べられています。
「やってもないのにムリ」をやめることで、
小さな成功体験が生まれます。
その積み重ねが、挑戦できるクラスをつくっていきます。

運動会で本当に見るべきなのは、結果ではない。
運動会の当日、先生はどこを見ていますか。
順位。タイム。演技の完成度。
もちろんそれも大事です。
でも、わたしが運動会で見ているのは、もっと別のところです。
勝ったかより、そこに至る姿を見逃さない。
結果よりも、そこに至る過程に学級経営のヒントが詰まっています。
練習が嫌だと言っていた子が、最後まで諦めなかった。
失敗を繰り返しながらも、粘り強く取り組む姿勢が育っていった。
苦手なことも声をかけ合いながら、助け合う場面が増えていった。
あきらめない姿勢、粘り強さ、仲間との関わり方。
それは運動会の結果には出てこない、でも確かに育っているものです。
教師が主役になるほど、子どもはつながれない。
運動会の練習で、
教師が前に出すぎると、子ども同士がつながる場面が生まれません。
教師が指示を出すほど、子どもは「やらされている」になっていく。
逆に、教師が黒子に徹するほど、子どもは自分たちで考え、動き始める。
「横のつながり」は、教師が手を引いた隙間に育ちます。
意図的に「子どもに任せる場面」をつくることが大切です。
評価したいのは、勝敗ではなく「関わり方」。
運動会を通じて見取りたいのは、こういうことです。
友達が失敗したとき、どんな言葉をかけたか。
うまくいかないとき、どう気持ちを立て直したか。
チームのために、どんな役割を果たそうとしたか。
そこには「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」が現れています。
見取ったことが、そのまま評価や所見につながっていきます。

運動会は終わっても、学級経営は終わらない。
運動会が終わった瞬間、「終わった〜!」とほっとする先生も多いと思います。
でも、学級経営という視点では、ここからが本番です。
翌日の教室に、運動会の答えがある。
運動会の翌日、教室の空気はどうでしたか。
子どもたちが自然と運動会の話をしている。
「あのとき、○○くんが声をかけてくれた」
「転んだとき、○○ちゃんが手を差し伸べてくれた」
そういう言葉が出てくるクラスは、運動会を通じて確かに育っています。
翌日の教室の空気が、運動会の本当の答えだと思っています。
振り返りアンケートで、子どもの成長を「見取る」
運動会後に、子どもたちに振り返りアンケートを行うことをおすすめしています。
紙でもGoogleフォームでもどちらでも構いません。
Googleフォームを使うとスプレッドシートに自動集約されるので、後から見返しやすくなります。
振り返りアンケートの項目はシンプルでいいです。
① 練習を始めたときと比べて、自分はどう変わりましたか?
② 当日、自分が一番頑張れたことは何ですか?
③ 友達のどんな姿が印象に残っていますか?
④ 友達に助けてもらった・助けた場面を教えてください
⑤ 次の行事や生活に生かしたいことは何ですか?
実際にアンケートを取ると、教師では見取れなかった場面が出てきます。
「自分1人では絶対にできなかったけど、友だちと協力したらできた」
「はげましてもらったり、自分ができるときにははげましたり、友だちとの絆が深まった」
こういった言葉が、子どもから返ってきます。
教師が見ていなかった場面が、子どもの言葉で記録として残る。
それが評価にも、通知表の所見にも、そのまま活かせます。
📱 Googleフォームを使った体育の振り返り活用法はこちら

一喜一憂より、「次にどう生かすか」を考える。
結果に対して一喜一憂するのではなく、
「よかったこと」と「課題」を冷静に見極めることが大切です。
よかったことは、次の行事でも意識して続ける。
課題は、日常の学級経営の中で少しずつ育てていく。
子どもと一緒に振り返ることで、「次に向かう力」が生まれます。
それが学級経営をつないでいく原動力になります。
行事はゴールではなく、学級づくりの通過点。
運動会が終わっても、クラスは続きます。
次は、秋の遠足。学習発表会。冬の行事。
そして、3月の修了式まで、学級経営は続いていきます。
運動会で育ったつながりを、次の場面でも生かせるか。
運動会で生まれた課題を、日常の中で育てていけるか。
行事はゴールではなく、学級づくりの通過点です。
一つ一つの行事を通じて、少しずつクラスが育っていく。
わたしはそういう学級経営を大切にしています。

一人で抱えなくていい。全国に仲間がいる
「運動会の指導がうまくいかなかった」
「子どもたちがまとまらなくて、どう関わればいいかわからない」
「これでよかったのかな、とずっとモヤモヤしている」
そのモヤモヤを、一人で抱えなくていいと思っています。
悩んでいるのは、あなただけじゃないと思うんです。
全国に、同じように悩みながら子どもと向き合っている先生がいます。
わたしが運営しているオープンチャット
「Bridge〜みんなで繋がる『体育×学級経営』〜」では、
全国の先生方が授業実践や悩みを共有しながら、一緒に学び合っています。
「こんな関わり方もあるんだ」
「明日の授業でやってみよう」
一人で考える学級経営から、みんなで育てる学級経営へ。
あなたもぜひ、一緒に学び合いませんか。
▼ Bridge〜みんなで繋がる「体育×学級経営」〜
記事を読んで、気になることや聞いてみたいことがあれば、
ぜひわたしの公式LINEに
「ブリッジ」
と送ってみてください。

なんでも大丈夫です。
気軽に話しかけてもらえると嬉しいです。
また、わたしが運営しているオープンチャット
「Bridge〜みんなで繋がる『体育×学級経営』〜」では、
全国の先生方が授業実践や悩みを共有しながら、一緒に学び合っています。
「こんな方法もあるんだ」
「明日の授業でやってみよう」
そんな小さな発見が、
子どもたちの笑顔や先生自身の自信につながっていきます。
一人で考える体育から、みんなで育てる体育へ。
あなたもぜひ、一緒に学び合いませんか。
▼ Bridge〜みんなで繋がる「体育×学級経営」〜

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