なぜ今、教員にマインドセットが必要なのか
教員のウェルビーイング実現とキャリア支援を目指す教員コミュニティ『ジーニー』では、「教員の副業・新しい挑戦」をテーマにしたオンラインセミナーを開催しました。
近年、地方公務員の兼業推進に関する動きが進み、「学校の外でも挑戦したい」「自分の可能性を広げたい」と考える先生が増えています。一方で、長年身を置いてきた学校という環境から一歩踏み出すことに、不安や迷いを感じる方も少なくありません。
今回のセミナーでは、副業のノウハウではなく、「なぜ人は挑戦できないのか」という根本的なテーマに向き合いました。
講師を務めてくださったのは、元高校教師の岡部真さん。
現在はAccentureでのコンサルティング業務や、トヨタ自動織機女子マラソンチームのコーチなど、ビジネスとスポーツの最前線で活躍されています。
「自信ゼロ」だった元教師が挑戦を続けた理由
今でこそ多方面で活躍する岡部さんですが、その歩みは決して順風満帆ではありませんでした。
学生時代は野球部に所属し、誰よりも練習しながらも万年補欠。常に周囲の顔色をうかがい、自分に自信を持てなかったそうです。
教員採用試験にも2度不合格となり、3度目でようやく教壇へ。
赴任先は定時制高校。さまざまな事情を抱えた生徒たちが集まる環境で、生徒指導や人間関係づくりに全力で向き合う日々を送りました。
そんな現場経験を経て感じたのが、
「学校の中だけでは救える人数に限界がある」
ということ。
その思いから、学校の外側から先生たちを支援するコーチとして独立する決断をしました。
セミナーでは、こうしたリアルな体験談に参加者から多くの共感が寄せられました。
挑戦を阻むのは「意志の弱さ」ではない
「副業を始めたいと思っているのに動けない」
そんな自分を責めてしまうことはありませんか。
岡部さんは、その原因を「意志の弱さ」ではなく、人間の脳の仕組みにあると説明します。
脳の役割は「変わらないこと」
人間の脳には、現状を維持しようとする機能があります。
これをホメオスタシス(恒常性維持機能)と呼びます。
例えば、80度のサウナに入っても体温が一定に保たれるのは、脳が自動的に調整しているからです。
原始時代において、未知の場所へ行くことは命の危険を意味しました。
そのため脳は、
- 現状維持=安全
- 変化=危険
と認識するようにできています。
つまり、新しい挑戦に不安を感じるのは自然な反応なのです。
副業や転職、新しい学びに踏み出せない自分を責める必要はありません。
それは脳が正常に働いている証拠なのです。
RASを味方につける
では、どうすれば変化できるのでしょうか。
そこで登場するのが「RAS(網様体賦活系)」という脳の情報フィルターです。
私たちは日常で受け取る膨大な情報のうち、自分に必要だと判断したものしか認識していません。
例えば、
- 冷蔵庫の音は聞こえない
- でも自分の名前を呼ばれたらすぐ気づく
これがRASの働きです。
借金1,000万円を背負ったら何が起きるか
もし突然1,000万円の借金を背負ったらどうでしょう。
今まで気にも留めなかった
- 稼ぐ方法
- 副業情報
- ビジネスチャンス
ばかりが目に入るようになります。
脳が「それが重要だ」と判断するからです。
つまり目標設定とは、
脳に「これは重要だ」と認識させる作業
なのです。
脳のフィルターを書き換える3つのポイント
岡部さんは次の3つを挙げました。
- 自分にとって重要だと認識する
- 理想の未来を当たり前だと思う
- 強烈なゴールを持つ
目標を持つことで、脳は自動的に達成方法を探し始めます。
行動を生み出す2つの要素
理想の未来へ向かうために欠かせないものがあります。
それが
- ワクワク
- エフィカシー(自己効力感)
です。
「できる気がする」が行動を生む
岡部さんは次の例を紹介しました。
100人に声をかけたら1億円
多くの人は挑戦するでしょう。
なぜなら、
- 1億円に魅力を感じる
- 声をかけられる自信がある
からです。
バク転できたら1億円
未経験者は動けません。
魅力はあっても、
「自分には無理だ」
と思うからです。
しかし、
1か月練習してできたら1億円
と言われると、
「もしかしたらできるかも」
という感覚が生まれます。
これがエフィカシーです。
行動は、自信の大きさによって決まるのです。
成長を加速させる「ワクワク50%・ゾワゾワ50%」
理想的な目標設定は、ワクワク50%・ゾワゾワ50%だと岡部さんは語ります。
ワクワクだけでは成長は起きません。
一方で、不安しかない目標は続きません。
少し怖い。
でもやってみたい。
その状態こそが、コンフォートゾーンを広げている証拠です。
自信は「自分との約束」でつくられる
本当の自信は他人から与えられるものではありません。
自分との約束を守った回数によって生まれます。
例えば、
- 1分だけ本を開く
- 5分だけ勉強する
- いつもと違う選択をしてみる
そんな小さな約束で十分です。
約束を守るたびに、
「自分はやると決めたことを実行できる人間だ」
という感覚が積み上がっていきます。
教師の挑戦が子どもたちの未来を変える
この考え方は、学級経営や教育実践にも直結します。
教師自身が挑戦している姿は、生徒たちにとって何よりの教材です。
新しいことに挑戦する先生。
失敗しても学び続ける先生。
そんな背中は、生徒たちの
「自分にもできるかもしれない」
という集団的自己効力感を育てます。
教師の成長は、生徒の成長にもつながっているのです。
今日、朝の自分に何を教えられますか?
セミナーの最後に、岡部さんは参加者へ問いかけました。
「今日、朝の自分に対して何を教えられますか?」
もし答えがないなら、昨日と同じ習慣を繰り返しただけかもしれません。
たった1%でもいい。
昨日とは違う選択をする。
昨日とは違う学びを得る。
その積み重ねが、自分自身の可能性を広げていきます。
教員コミュニティ『ジーニー』は、そんな挑戦を続ける先生たちを応援する場です。
一人では踏み出せない一歩も、仲間がいれば進めるかもしれません。
新しいキャリアも、新しい人生も、大きな決断から始まるわけではありません。
今日の小さな1%のアップデート。
その一歩から、未来は変わり始めます。
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