1.はじめに|AIを「教員の味方」にする
教育現場でICTやAIを活用することは、単なる「便利なツールの導入」ではありません。
日々の業務に追われる教員が、自分の時間を取り戻し、子どもたちと向き合う余白を生み出すための大きな可能性を秘めています。
一方で、
「AIを使ってみたいけれど、何から始めればいいのかわからない」
「学校の環境では、どこまで使っていいのかわからない」
「一人で試していると、うまくいかなくて挫折してしまう」
そんな悩みを抱えている教員も少なくありません。
そこで、教員コミュニティ『ジーニー』では、2026年8月28日に「AI実践共有会」を開催しました。
当日は夜21時30分からの開催にもかかわらず、120名を超える教員が参加。
単にAIの「使い方」を学ぶだけではなく、実際の教育現場でどのようにAIを活用しているのか、参加者同士がリアルな実践を共有しました。
『ジーニー』は、AI活用だけを目的としたコミュニティではありません。
授業実践、学級経営、人間関係、キャリア、ウェルビーイングなど、教員の仕事と人生を幅広く支えることを大切にしています。
だからこそ今回のAI実践共有会でも、AIを「仕事を効率化するためだけの道具」ではなく、
「教員がより自分らしく働き、子どもたちと向き合うためのパートナー」
として捉えました。
そして、今回のイベントで特に大切にされたのが「共創」という考え方です。
一人でAIと向き合うのではなく、仲間と一緒に試し、失敗し、改善しながら、自分たちの教育現場に合った使い方を見つけていく。
そんな学びの場から、今回も多くの実践が生まれました。
2.実践共有①|きよ先生「低学年の学びを支えるAI活用」
最初に実践を共有してくれたのは、きよ先生。
小学校担任と中学校技術の指導を兼務する中で、AIを「子どもたちにとって学びやすい環境をつくるためのツール」として活用しています。
特に印象的だったのが、AIに「ゼロから作らせる」のではなく、自分のアイデアをAIに渡して形にしていく方法です。
手書きメモを「使える掲示物」に変える
例えば、掃除の手順や算数の筆算のやり方などを、まずは裏紙に手書きでまとめます。
それを写真に撮ってAIに読み込ませ、
「小学校の教員として、子どもたちがやる気を出せる掲示物にして」
といったように、目的や対象を伝えながらAIと対話します。
すると、教員が頭の中で考えていたアイデアが、短時間で見やすい掲示物へと変わります。
もちろん、AIが最初から完璧なものを作ってくれるわけではありません。
細かな間違いがあれば、
「ここは違うよ」
「この数字を修正して」
と対話しながら改善していきます。
この「AIに任せて終わり」ではなく、「教員とAIが一緒につくる」というプロセスそのものが、新しい教材研究の形になっています。
「ことばはかせ」で低学年の語彙指導をサポート
もう一つ紹介されたのが、AIを活用した「ことばはかせ」です。
小学校2年生では、「言葉の意味はわからないけれど、どう説明すればいいのかわからない」という場面が少なくありません。
そこで、AIに文部科学省の「学年別漢字配当表」を知識として読み込ませ、2年生がまだ習っていない漢字を適切にひらがなにしたり、ルビを付けたりできるようにしています。
さらに、単に言葉の意味を説明するだけではありません。
例えば「やがて」という言葉を説明するときには、
「卵のポーズになって、やがて少しずつ大きくなって、最後はカエルや鳥に変身してみよう」
といった、身体を使って言葉の意味を体験できる活動まで提案してくれます。
AIが、教員の「こう伝えたい」という思いを具体的な教材や活動へと広げてくれる。
きよ先生の実践からは、AIが教員の「翻訳者」や「アイデアを広げるパートナー」になる可能性が見えてきました。
3.実践共有②|kazu先生「バイブコーディングで教務を変える」
続いて登壇したのは、数学教員12年目のkazu先生。
今回、特に参加者の注目を集めたのが「バイブコーディング」です。
バイブコーディングとは、プログラミングの専門知識がなくても、AIと日本語で対話しながら、自分が欲しいアプリやツールを作っていく方法です。
kazu先生自身も、AIとの対話を通して、学校現場の具体的な課題を解決するツールを次々と開発しています。
実際に作ったツール
| ツール | 制作時間 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 座席替え・ルーレット | 15〜30分 | 視力への配慮が必要な児童を優先的に前方へ配置するなど、学級の実情に合わせた座席替えが可能 |
| 指導案作成ツール | 約2時間 | 単元目標などを選択することで、Word形式で保存できる指導案の土台を作成 |
| 数学ラボ2 | 約80時間 | 3,000〜4,000問を収録。動画との連携やガチャ、必殺技などのゲーム要素を取り入れた本格的な学習アプリ |
特に「数学ラボ2」は、単なるAI活用の域を超えた本格的なアプリです。
人気YouTuberさんの許可を得て動画と連携し、ゲーム性も取り入れながら、生徒が楽しみながら数学に取り組める仕組みを作っています。
「第二の脳」Obsidianが開発を加速させる
そして、kazu先生の圧倒的なアウトプットを支えているのが「Obsidian(オブシディアン)」です。
Obsidianを「第二の脳」として活用し、これまでのアイデアやプロンプト、AIとの試行錯誤を蓄積。
その情報をAIにも参照させることで、
「自分が何を作りたいのか」
「これまでどんな方法を試してきたのか」
をAIが理解しやすくなり、開発のスピードをさらに高めています。
これまでの学校現場では、「市販のソフトに学校の仕事を合わせる」という考え方が一般的でした。
しかしAIによって、
「自分たちの現場に必要なものを、自分たちで作る」
という選択肢が生まれています。
重要なのは、プログラミングの専門知識だけではありません。
「今、何に困っているのか」
「どうなったら子どもたちや教員が楽になるのか」
という、現場を知る教員だからこそ持てる問いが、AIによる開発の出発点になります。
4.参加者の対話から広がる「共創」
後半の質疑応答では、チャット欄に次々と質問や実践が投稿され、最後まで熱気が続きました。
例えば、
- 学校アカウント・教育版AIならではのセキュリティ上のメリット
- 画像生成AIで文字化けが起きたときの対応
- 自治体によって異なるAI利用環境への対応
- 学校現場でAIを安全に活用するための工夫
など、実際にAIを使っているからこそ出てくる具体的なテーマについて、活発な情報交換が行われました。
さらに、参加者からもさまざまな実践が共有されました。
Claudeを活用した校務改善
週予定などの情報から授業時数を自動集計するツールを作成し、これまで手作業で行っていた校務を効率化。
Copilotを活用した表現の拡張
学校の公式キャラクターのポーズを変更し、行事用のサイネージや動画などに活用。
自治体ごとの制限の中での工夫
「都立AI」など、自治体ごとに異なる利用環境や制限がある中でも、その条件に合わせて安全にAIを活用する方法が共有されました。
こうした実践の価値は、一人の教員の中だけで完結しません。
一人でAIを使っていると、
「エラーが出て先に進めない」
「学校のルールで使えない」
「そもそも、どう質問すればいいかわからない」
といった壁にぶつかります。
しかし、仲間がいれば、
「こうしたらできました」
「この方法なら学校でも使えました」
「このプロンプトに変えたらうまくいきました」
と、経験を共有できます。
一人の試行錯誤が、コミュニティ全体の学びになる。
これこそが、ジーニーが大切にしている「共創」の力です。
5.おわりに|AIとともにつくる、教職の新しい未来
今回のAI実践共有会を通して、改めて感じたことがあります。
AIは、教員の仕事を奪うためだけのものではありません。
むしろ、
「教員にしかできない仕事」
に、教員がより多くの時間とエネルギーを使えるようにするための可能性を持っています。
教材の準備。
校務の効率化。
学習アプリの開発。
子どもたちへの言葉の伝え方。
これまで「時間がないからできない」と諦めていたことが、AIによって実現できるようになっています。
そして、その先にあるのは単なる「時短」ではありません。
教員が少しでも余白を取り戻し、子どもたちと向き合う時間を増やす。
仕事だけでなく、一人の人間としての生活も大切にする。
その結果として、教員自身のウェルビーイングが高まり、教育の質も高まっていく。
ジーニーでは、オープンチャット「教員のためのICT・AI共創ラボ」や公式LINE、定期的なZoom交流会などを通して、こうした学びを継続できる場をつくっています。
オープンチャット「教員のためのICT・AI共創ラボ」
AI活用だけではありません。
授業、学級経営、キャリア、副業、働き方など、教員一人ひとりがより豊かに、自分らしく働き、生きていくための学びやつながりも大切にしています。
AIを使うことは、単に仕事を効率化することではありません。
「自分の時間を、自分の人生を取り戻すこと」
なのかもしれません。
教員がAIを味方につけ、少しでも「ゆとり」と「笑顔」を取り戻す。
その積み重ねが、子どもたちにとってより良い教育にもつながっていく。
今回のAI実践共有会は、そんな未来を参加者みんなで考える時間となりました。
登壇者からのメッセージ
「AIとの対話は、自分の教育観を整理する時間でもあります。完璧を目指さず、まずは遊ぶような感覚で、明日の一歩を踏み出してみませんか。私たちは、共に歩み、共に創り上げる仲間としてここにいます。」
【ご案内】
AIを「難しいもの」として遠ざけるのではなく、まずは触ってみる。
そして、一人で悩むのではなく、仲間と一緒に試してみる。
そんな小さな一歩から、教員の働き方は変えていけます。
ぜひ、私たちと一緒に「教員の未来」を共創していきましょう。
今回のイベントで紹介されたAI活用の詳しい内容や、今後のイベント情報を希望される方は、ジーニー公式LINEにてお気軽にお問い合わせください。
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