イベント報告

【開催報告】校内研修の「モヤモヤ」を「希望」に変える ~明日からの景色が変わる「対話」の場~

イベント報告

1.はじめに|なぜ今、私たちは「校内研修」を問い直すのか

一学期の終盤。日が暮れ始めた放課後の職員室。

時計の針が18時を回る頃、静まり返った廊下に響くのは、ため息と、昨年度の踏襲に過ぎない研修資料をめくる音――。

そんな光景に、言葉にしにくい「モヤモヤ」を感じたことはないでしょうか。

本来、校内研修は、教師同士が子供たちの未来を語り合い、互いの実践を認め合いながら学びを深める「希望」の場であるはずです。

しかし現実には、山積する校務の合間に「こなすべきタスク」として組み込まれ、強い「やらされ感」を抱えている先生も少なくありません。

もしかすると、私たちに足りないのは、単純な「時間」ではなく、学ぶことの「意味」なのかもしれません。

そんな校内研修の閉塞感を打破するため、教員コミュニティ『ジーニー』では、「校内研修のモヤモヤを希望に変える」をテーマにオンラインイベントを開催しました。

平日の夜にもかかわらず、60名を超える先生方が参加。

チャットには、「本音で語りたい」「もっとこういう研修がしたい」といった、現場の率直な思いが次々と寄せられました。

今回のイベントは、単に研修の「手法」を学ぶ場ではありません。

教員一人ひとりが、自分自身の価値観や実践を見つめ直し、対話を通して主体性を取り戻していく。

そんな「学びの場」として開催されました。

2.現場のリアル|30秒で噴き出した「モヤモヤ」

イベント冒頭、ゲストの林大志郎先生から投げかけられた問い。

「皆さんは、何にモヤモヤしていますか?」

わずか30秒。

それだけで、チャット欄は先生方の率直な声で埋め尽くされました。

そこには、日々の職員室で飲み込んできた言葉が並んでいました。

整理してみると、校内研修を難しくしている「3つの壁」が見えてきます。

① 組織の壁|多忙による形骸化

  • 「忙しくて、それどころではない」
  • 「研修中に内職をしてしまう」
  • 「現場のニーズより、トップダウンで研修内容が決まってしまう」
  • 「研究授業をすること自体が目的になっている」

日々の対応に追われ、自分自身の学びを後回しにせざるを得ない。

「学ぶための研修」が、いつの間にか「こなすための研修」になってしまっています。

② 関係性の壁|深刻な心理的温度差

  • 「本音で話せない」
  • 「失敗を見せるのが怖い」
  • 「ベテランになるほど、今さら授業を見られたくない」
  • 「若手とベテランで、研修への温度差がある」

「こんなことを言ったらどう思われるだろう」

そんな不安があると、議論はどうしても表面的になってしまいます。

③ 価値観の壁|目的の喪失

  • 「報告書を書くことが目的になっている」
  • 「指導主事に見せるための研修になっている」
  • 「子供の姿より、形式や成果物の話が中心になる」
  • 「学校全体の研究テーマと、自分が目の前の子供にしたいことが噛み合わない」

本来、研修の中心にあるはずの「子供の姿」が、いつの間にか見えなくなってしまう。

こうしたリアルな声を前に、林先生はどのように「希望」の種を蒔いていったのでしょうか。

3.林先生からの提言|スキルアップの前に「価値観」を更新する

今回登壇いただいたのは、兵庫県の中学校教員であり、研究者でもある林大志郎先生

林先生の話は、「研修=知識やスキルを身につける場」という従来の研修観を、大きく捉え直すものでした。

「威圧的な指導」への気づきと自己変容

林先生は、ご自身の経験を語ってくださいました。

「生徒が意欲的に参加する授業」を願いながら、実際には「なぜやらないのか」と生徒に圧力をかけてしまっていた。

その矛盾を、他者との対話を通して見つめ直していく中で、自分の中に、

「弱さと向き合うことを、相手にも求めてしまう価値観」

があることに気づいたそうです。

自分自身の「内なる縛り」に気づき、視点を変える。

そのことによって、授業中に感じていたフラストレーションも大きく変わっていきました。

ここには、今回のイベントを象徴する重要なポイントがあります。

「教師を変えるのは、新しいスキルだけではない。」

自分自身の価値観や思い込みに気づくこともまた、大きな学びになるのです。

「表層の価値」から「真層の価値」へ

林先生は、研修には大きく2つの価値があると説明されました。

  • 「表層の価値」……知識やスキルを身につけること
  • 「真層の価値」……意識や価値観が変化し、実践の見方そのものが広がること

そこで重要なキーワードとして紹介されたのが、コルトハーヘンの「ALACTモデル」です。

ALACTモデルでは、単に「何ができたか」「何ができなかったか」を振り返るだけではありません。

自分の行為の背景にある「思考・感情・望み」などを見つめ、自分自身の実践をメタ認知していきます。

林先生が提案する校内研修は、「正解を教えてもらう場」ではありません。

対話を通して、自分自身の授業観や子供観をアップデートしていく。

つまり、校内研修そのものを「交流と対話の場」として捉え直すということです。

4.対話の時間|ブレイクアウトルームで生まれた「希望」の種

イベント後半には、参加者が4つのルームに分かれ、実際に対話する時間が設けられました。

すると、参加者の表情が少しずつ変わっていきました。

「研修を受ける人」から、「自分たちの研修をつくる当事者」へ。

それぞれの経験やアイデアを語り合う中で、明日からでも試してみたくなるような、前向きな空気が生まれていました。

ここでは、実際に参加者から出されたアイデアの一部をご紹介します。

🍪 自主研修の可能性|お菓子持ち込みOKの「サークル形式」

「強制をやめて、興味がある人だけが集まる『サークル制』を導入した。お菓子を囲み、雑談ベースで進めることで研修の堅苦しさがなくなり、先生たちの本来の明るさが戻ってきた」

「研修だから、こうしなければならない」という固定観念を手放すことで、先生たちが自分から参加したくなる場が生まれます。

🏫 人脈の再発見|身近な専門家を呼ぶ「リクエスト制」

「遠くの有名講師ではなく、市内の『あの実践がすごい先生』をリクエストして呼ぶ。地域の子供を知る仲間だからこそ、本音で相談でき、学びが日常に直結する」

学校外の有名な講師を招くことだけが、研修ではありません。

実は、自分たちの身近なところに、すでに素晴らしい実践者がいる。

そんな「人と人とのつながり」そのものが、学びの資源になります。

👦 子供中心の視点|「子供による授業参観」

「先生だけでなく、子供たちが他学年の授業を見に行く。上の学年の姿に憧れる子供たちの変容を目の当たりにすることで、教師も『目指すべき子供像』を自然と再確認できた」

研修の主役を「教師」だけにしない。

子供たちの姿から教師自身が学ぶことで、「私たちは何のために学んでいるのか」という原点に立ち返ることができます。

🌱 スモールスタート|4〜5人のコアメンバーから始める

「一気に全体を変えるのは無理。まずは志を同じくする数名で対話を深める。そのメンバーの楽しそうな姿が、職員室の重い空気を少しずつ溶かしていく」

学校全体を一度に変える必要はありません。

まずは、同じ思いを持つ数人から始める。

その小さな「楽しさ」が、少しずつ周囲に伝わっていく。

そんな変化の起こし方も、今回の対話から見えてきました。

5.総括|「希望」に変えるための3つのアクション

イベントの最後には、林先生と参加者の皆さんとの対話から、校内研修を「希望」に変えるための3つのポイントが見えてきました。

① 「正解」を求めず、「問い」を共有する

「学習の質とは何か?」

「子供が『書きたい』と思うのは、どんな状態なのか?」

そんな本質的な問いを、職員同士で共有してみる。

正解を出すことよりも、一緒に問いを考えることそのものが、教師同士の同僚性を育てる研修になります。

「どんな子供の姿を目指したいのか」を語り合う。

それだけでも、十分に価値のある学びです。

② 失敗を許容する「セーフティネット」をつくる

「間違ったことを言ってはいけない」

「経験年数の浅い自分が意見を言うのは恥ずかしい」

そんな心理的な壁を取り払うためには、評価される場ではなく、安心して語れる場を意図的につくることが大切です。

コルトハーヘンの「8つの問い」などを活用しながら、経験年数に関係なく、自分の弱さや迷いも出せる場をつくる。

「失敗しても大丈夫」と思える環境が、教師を孤独から救います。

③ 「学ぶ権利」を自分たちの手に取り戻す

研修を「やらされる義務」から、「自分たちが望んで学ぶ権利」へ。

そのためには、一人ひとりの「知りたい」「やってみたい」という思いに光を当てることが大切です。

自主研修やワークシートの工夫など、小さな仕組みからでも構いません。

「自分たちの学びを、自分たちでつくる」。

その感覚が、研修の自分ごと化につながっていきます。

6.おわりに|教員コミュニティ『ジーニー』が目指す「第3の居場所」

教員コミュニティ『ジーニー』が目指しているのは、

「職員室では話せないことも、安心して話せる場所」です。

学校という組織の中では、ときに「正しさ」や「役割」に押しつぶされそうになることがあります。

でも、学校の外に出てみると、

「実は自分も同じことで悩んでいた」

「そんな方法があったんだ!」

「それなら明日、やってみたい」

そんな新しい出会いや気づきが生まれることがあります。

今回のイベントでも、60名を超える先生方が集まり、互いの「モヤモヤ」を持ち寄りながら、それを「希望」に変えていく対話が生まれました。

私たちは、こうした場をこれからも大切にしていきます。

教員のウェルビーイングと専門性の向上。

その両方を支える「第3の居場所(サードプレイス)」として、教員コミュニティ『ジーニー』は歩んでいきます。

今後のイベントも開催予定です!

  • 全国各地でのオフ会
  • AI勉強会
  • 学級経営座談会
  • 教員同士の交流イベント
  • 実践を語り合うオンラインイベント など

「明日が少し楽しみになる」

そんな出会いや学びを、これからもつくっていきます。

最新情報やイベントの詳細は、ジーニー公式LINEからお届けしています。

二学期のスタートに向けて、先生方の心に小さな「ワクワク」が芽生えていたら嬉しく思います。

職員室の景色を変えるのは、大きな改革ではなく、もしかすると、あなたから始まる「ほんの小さな対話」なのかもしれません。

今回ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

またジーニーで、皆さんとお話しできることを楽しみにしています。

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