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主体的・対話的で深い学びを育てる授業|教師の先回りが子どもの思考を止める

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「自分で考えて動ける子に育ってほしい。」
そう願いながら、授業ではつい答えを先に言ってしまう。
子どもの手が止まると、つい口を出してしまう。
そんな毎日になっていませんか。

教えて進める授業は、時間も進度も管理しやすい。
先生にとっては、安心できる授業です。

でも、子どもの頭の中はどうでしょうか。
聞いた話が右から左へ流れていくだけの授業では、主体的・対話的で深い学びは育たない。
わたしは、そう考えています。

子どもの成長を止めている原因は、子ども自身ではありません。
よかれと思って口を出す、わたしたち大人かもしれません。

子どもが考える前に、大人が答えや指示を先に出してしまうこと。
それを、この記事では「先回り」と呼びます。
先回りをやめて、子どもが自分から動き出す教室に変えるヒントをお伝えします。

この記事でお伝えすること
  • 「先回り」が、主体的・対話的で深い学びを止める理由
  • 「聴いてもらえた安心」が、子どもの口を開く理由
  • 失敗を乗り越える力を育てる、大人の位置
  • 学校全体で「声をかけすぎない」ために

わたしも、そういう時間をたくさん過ごしてきました。

教員になったころ、わたしは先輩の指導を真似していました。
「教え込む・管理する」授業です。
でも、自分には合わず、空回りの連続でした。

子どもが動かないと、「なんで動かないんだろう」と、子どものせいにしていた気がします。
よかれと思ってやったことが、すべて裏目に出た時期もありました。

動かなかったのは、子どもではありません。
わたしが先に答えを渡して、考える機会を奪っていたのです。

教え込むスタイルをやめて、子どもが自分たちで考え動ける授業に切り替えてから、子どもとの距離が縮まり、学級経営も好転しました。

中学校で10年、小学校で6年。
両方の教室を見てきて、年齢が違っても、先生が先に動くほど子どもは待つようになる、と感じています。

「教えてあげる」が、子どもの考える力を奪っていた

子どもが考える前に答えを言う「先回り」が、思考を止めています。

先回りは、思いやりから生まれます。
困っている子を見ると、助けたくなる。
沈黙が続くと、不安になって口を出したくなる。
わたしも、ずっとそうでした。

でも、子どもの側から見るとどうでしょう。
「考えなくても、先生が教えてくれる」。
そう学んだ子は、答えを探すのをやめて、先生の顔色を探し始めます。

例えば、授業中に何度も「先生、これでいいですか?」と確認に来る子。
「いいよ」「ちがうよ」と返し続けるほど、その子は自分で判断する機会を失っていきます。

大切なのは、答えを渡すことではありません。
考える時間と場所を渡すこと。


先生が一歩引いた分だけ、子どもが一歩前に出るのです。

先回りは、結果を急ぐ気持ちからも生まれます。
「早く答えにたどり着いてほしい」。
その思いが強いほど、子どもが迷う時間を、無駄な時間として削ってしまいます。

わたしも、授業の時間に追われるほど、先回りが増えていました。

でも、迷っている時間こそ、子どもの頭がいちばん動いている時間です。
試行錯誤の時間を、子どもに返す。
まずは、そこからです。

主体性の反対にあるのは、指示待ちや思考停止です。
先回りの親切は、その入り口を静かにつくってしまいます。

先生が話すほど、主体的な学びは遠ざかる

聞いているだけの授業では、子どもの頭は動きません。

講義型授業は、教える側にとって一番やりやすい授業です。
時間配分も進度も、思い通りに管理できます。
わたしは、講義型を先回りの一つのかたちだと考えています。

何もせずに授業が終わるのは、子どもにとっても楽でしょう。
でも、楽な授業は、頭を使った授業とは限りません。

学習指導要領が目指す「主体的・対話的で深い学び」には、3つの視点があります。

中央教育審議会の答申では、見通しをもって粘り強く取り組み、振り返って次につなげる「主体的な学び」、子供同士の協働や教職員との対話を通じて考えを広げ深める「対話的な学び」、見方・考え方を働かせて知識を関連付け、より深く理解する「深い学び」の3つが示されています。(出典:文部科学省 中央教育審議会答申(平成28年12月21日))



先生の話を聞くだけでは、見通しも、友だちとの協働も、知識のつながりも、子どもの中で動きません。
講義型だけでは、この3つは育ちにくいのです。

教えるべきことは、教えていい。
わたしが問題にしたいのは、子どもに任せられる場面まで、先生が埋めてしまうことです。

では、任せるとはどういうことでしょうか。
例えば「みんなが気持ちよく過ごせる学級って、どんな教室だろう?」という問い。

正解は一つではありません。
意見が分かれても、いい。
大切なのは、自分の意見を持つこと。

答え探しをやめた子どもは、自分ごととして考え始めます。
やがて、先生の仲介がなくても、子どもたちだけで話し合いが進み、深まっていきます。

ただし、「主体的・対話的で深い学び」は、答申では特定の指導方法とは位置づけられておらず、教員が意図をもって授業をつくることも否定されていません。(出典:ベネッセ教育総合研究所 VIEW next)

講義だけなら、YouTubeや動画でも学べます。
それでも子どもが学校に集まる意味は、友だちと考えを伝え合い、一緒に深められることにあります。
わたしは、そう思っています。

「先生に訊く」から「隣に訊く」へ。対話的な学び

子どもが話し出す教室は、聴いてもらえた経験の上に立っています。

話を最後まで聴いてもらえた経験は、安心感になります。
安心できる場所だから、人は話せます。
逆に、聴いてもらえない経験が続くと、人は話すことをやめてしまいます。

ここで言う「聴く」は、言葉を受け取るだけではありません。
その子が本当に伝えたかったこと、真意までききとること。

そして先生もクラスの一員です。
先生の話だからと特別扱いせず、互いの言葉を大切にする。
それが、わたしの考える「ききあえる関係」です。

人に安心感を与える話し方の出発点は、実は「聞く力」です。相手が安心して話せる状態、すなわち心理的安全性を確保できなければ、信頼関係は築けません。(出典:人に安心感を与える話し方とは)

安心して話せる教室になると、「訊(き)く」ことも自然になります。(相手にたずねる)

子どもは、わからないことがあると、すぐ先生に訊きにきます。
先生にしか分からないことなら、先生が答えます。
でも、これまでに話したことなら、わたしはこう返しています。

「隣の人に訊いてみて」
「グループの人にも訊いてみよう」

すると、「先生、さっき言ってたやん」「ここはこうするって言ってたよ」と、子ども同士が勝手につながり始めます。

先生に訊けば教えてもらえる。
そう思っている子は、友だちに訊くよさに気づけません。
問い返しは、友だちに訊くよさを知る入口です。

話し合いが止まったときも同じです。
例えば、学級の話し合いで意見が出なくなったとき。

沈黙が怖くて、つい助け船を出したくなります。
でも、1分くらいなら待てます。
視線を交わしながら考える時間が、次の一言を生みます。

失敗しない子より、深い学びを経験する子へ

失敗させないように守るほど、立ち直る力は育ちません。

子どもが失敗しそうだと、先に手を出したくなります。
間違える前に止める。
つまずく前に道を整える。
それが優しさだと思っていた時期が、わたしにもありました。

間違える前に「そこはこうだよ」と先に教える
うまくいかなそうな話し合いに、すぐ入って整理する
困る前に、ヒントを全部配ってしまう

先回りの手助けは、その場ではうまくいったように見えます。
でも、次に同じ場面が来たとき、子どもはまた大人を待ちます。

もちろん、立ち直れないような失敗は避けたい。
けがにつながる場面や、深く傷つく言葉は、大人が止めます。

でも、ある程度の失敗は、乗り越える経験になります。
失敗して、悩んで、もう一度やってみる。
その繰り返しが、レジリエンス(立ち直るしなやかさ)を育てます。

失敗したあとに「どうしたい?」と訊く
「友だちに訊いてみる?」と選べる形で渡す
結果より、乗り越えた過程を認める

大切なのは、大人の位置です。
前から引っ張る人でも、上から指示する人でもありません。
横で支える人。

「失敗しても、先生はここにいる」。
そう子どもたちが分かっていることが、挑戦する力になります。

わたしは、指示するのではなく、サポートする位置にいることを、子どもたちに伝え続けたいと思っています。

子どもを変える前に、大人の立ち位置を変える

大人全員で、声をかけすぎない。それが一番の近道です。

担任が待っていても、近くで答えを教えてもらえる。
授業の外で、先に解決してもらえる。
すると子どもは、「やっぱり大人に訊けばいい」と学んでしまいます。

誰が悪いわけではありません。
みんな、子どものことを思っているからです。

学年会や職員室で、「どこまで待つか」を一言共有するだけでも、関わりは揃っていきます。

だから、授業のことも、授業以外のことも、教員も支援員さんも、同じ視点を持ちたい。

子どもたち同士で解決できた成功体験が積み重なって、はじめて「自分たちでやれる」という思いが育ちます。

ただ黙っていればいい、という話ではありません。
待つ、問い返す、つなぐ。
手立ての積み重ねがあって、子どもは動き出します。

答えを先生に求め続けていると、自分の考えは広がりません。
友だちとのつながり方も分からないまま、学校生活を終えてしまうかもしれません。


そして社会に出ても、言われたことしかできない人になってしまう。
指示待ちでは、自分の仕事を見つけていけません。

だからわたしは、子どもたちに、自分で考えて動ける人になってほしい。
それが、この記事を書いた理由です。

大丈夫です。
大人が一歩引いて、横で支えるだけで、教室は変わります。

子どもたちは、わたしたちが思っているよりずっと、自分たちで考え、つながっていけます。
あの子の「やってみよう」は、きっと聞こえてきます。

「待つのが怖い」に、どう向き合う?

Q. 沈黙が続いて、授業が進みません。いつまで待てばいいですか?

A. 場面によっても違うと思いますが、目安は1分です。
それでも動かないときは、「隣の人と話してみよう」と一言つなぐだけでも動き出します。

Q. 講義型授業は、完全にやめるべきですか?

A. いいえ。教えるべき場面は必要です。
大切なのは、任せられる場面まで先生が埋めないことです。

Q. 「隣に訊いて」と返すと、冷たく思われませんか?

A. 先生にしか分からないことには、きちんと答えます。
既習のことだけを問い返し、普段から「先生は味方だよ」と伝えておけば、突き放された感じにはなりません。

Q. 支援員さんには、どう共有すればいいですか?

A. 責めずに、「どこまで待ちましょうか」と相談してみてください。
授業前の一言の共有だけでも、関わりは変わります。

「これでよかったのかな」と悩む先生へ

「子どもに、どう関わればいいかわからない」
「よかれと思ってやったことが、逆効果だったかもしれない」
「これでよかったのかな、とずっとモヤモヤしている」

そのモヤモヤを、一人で抱えなくていいです。

悩んでいるのは、あなただけではありません。
全国に、同じように悩みながら子どもと向き合っている先生がいます。

つながった先生たちには、変化が起きています。

<strong>小学校教員</strong><br>20代男性
小学校教員
20代男性

沈黙を待つのが怖くなくなりました。その間に、子どもたちが考えていたと気づけました。

<strong>小学校教員</strong><br>20代女性
小学校教員
20代女性

口を出す前に、一度立ち止まれるようになりました。教室の空気が変わった気がします。

<strong>小学校教員</strong><br>40代女性
小学校教員
40代女性

『これでよかったのかな』を話せる場所があるだけで、気持ちが軽くなりました。

一人で頑張る毎日が、つながる毎日に変わる。
それだけで、明日の朝の感じ方が変わります。

わたし自身も、一人で悩みを抱えていた時期がありました。
その経験については、こちらの記事でお話ししています。

【実話】教員コミュニティと体育で描く孤独脱却のリアル
孤独や教科指導の悩みを一人で抱え込む教員へ。10年の中学校講師経験を経て小学校へ移り、SNS発信の壁にぶつかったりゅう先生。教員コミュニティ『ジーニー』や体育を中心としたオープンチャット『ブリッジ』での出会いを通じ、学校の枠を超えた仲間と授業づくりやウェルビーイングを実現したリアルストーリーをお届けします。

わたしたちが運営するオープンチャット
「Bridge」は、
体育と学級経営をテーマに、
全国の先生たちが言葉を交わしているコミュニティです。

「これでよかったのかな」を持ち込んでいい場所。
あなたのことを必要としている仲間が、ここにいます。

ぜひ、一緒に話しましょう。
待っています。

記事を読んで、気になることや聞いてみたいことがあれば、
ぜひわたしの公式LINEに

「ブリッジ」

と送ってみてください。
なんでも大丈夫です。
気軽に話しかけてもらえると嬉しいです。

公式LINEはこちら

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