「日本人学校で働くと、実際の仕事内容はどう変わるの?」
「海外派遣に行くと、給与や生活はどうなる?」
「家族を連れて海外に行く場合、子どもの教育はどうする?」
「帰国後のキャリアにはどんな選択肢がある?」
今回のセミナーでは、こうした疑問に答えるため、在外教育施設や日本人学校での勤務経験を持つ3名の登壇者をお招きし、海外派遣のリアルについてお話しいただきました。
事前に寄せられた質問は、なんと150件以上。
仕事内容、給与、生活、家族、子どもの教育、帰国後のキャリアまで、一般的な募集要項だけでは分からない「実際のところ」を、経験者だからこそ話せるリアルな視点で深掘りしました。
在外教育施設への派遣は、教員のキャリアを広げる選択肢
教員として働いていると、毎日の授業準備や校務に追われ、
「このまま今の学校で働き続けていいのだろうか」
「教員として、もっと違う経験をしてみたい」
「将来的に教員以外のキャリアにも挑戦してみたい」
と感じることもあるのではないでしょうか。
在外教育施設への派遣は、そうした教員にとって大きな転機になる可能性があります。
今回のセミナーでは、在外教育施設で働くことを、単なる「海外勤務」としてではなく、
- 教員としての専門性を広げる
- 日本の教育を外から見つめ直す
- 海外で生活する経験を得る
- 全国の教員とつながる
- 帰国後のキャリアの選択肢を増やす
ための機会として捉えました。
登壇したのは、それぞれ異なる地域で海外派遣を経験した3名です。
MATSU氏(アジア代表)
上海日本人学校での勤務を経験。
現在は、その経験を活かし、上海のインターナショナルスクールで園長・校長を務めています。
B.Y氏(南米代表)
ブラジル・サンパウロ日本人学校に勤務し、2024年3月に帰国。
小規模校での幅広い指導や、12時間の時差、家族帯同での海外生活を経験しています。
18番街氏(ヨーロッパ代表)
ヨーロッパの日本人学校への派遣を経験後、教員を退職。
現在は教育起業家として、学習塾の運営やオルタナティブスクールの立ち上げに携わっています。
今回は、この3名からそれぞれ異なる地域・学校規模・キャリアの視点で、在外教育施設のリアルをお話しいただきました。
日本人学校・在外教育施設で働くと仕事内容はどう変わる?
在外教育施設での仕事内容は、日本の学校現場と共通する部分もあります。
一方で、地域や学校の規模によって、教員に求められる役割は大きく異なります。
全国から集まる教員との出会い
上海のような大規模な日本人学校には、全国各地から多くの教員が集まります。
それぞれの自治体や学校で経験を積んできた教員が集まるため、日常の会話や授業実践そのものが学びになることもあります。
普段の勤務先では出会えなかったような教員と一緒に働くことで、
「こんな教育の考え方があるのか」
「こういう授業のつくり方があるのか」
と、新たな視点を得ることができます。
在外教育施設で働くことは、全国の教員と出会い、自分の教育観を広げる機会にもなります。
海外だからこそ身につく「自分で判断する力」
ブラジルなど、日本から遠く離れた地域では、日本との時差が12時間に及ぶこともあります。
日本の教育委員会や知人にすぐ相談することが難しい環境では、現地で自分自身が判断して行動する必要があります。
「誰かに聞けばすぐに答えが分かる」という環境ではありません。
だからこそ、自然と、
- 自分で考える
- 情報を集める
- 周囲と相談する
- 最後は自分で決断する
という力が身につきます。
この経験は、帰国後の学校現場だけでなく、将来的に管理職や起業、異業種への転職など、さまざまなキャリアにも活かせる力になります。
小規模な日本人学校では、専門外の教科を担当することも
在外教育施設では、学校の規模によって教員の働き方も大きく変わります。
特に小規模校では、教員数が限られているため、専門外の教科を担当することもあります。
B.Y氏は中学校教員でありながら、小学2年生の担任を務めました。
「生活科」や「図工」など、これまで専門的に担当してこなかった教科を教える必要もありました。
中学生に対する指導と、小学校低学年の子どもへの指導では、言葉の選び方も、授業の進め方も大きく異なります。
これまでの経験を一度リセットし、
「7歳の子どもにどう伝えれば分かるのか」
を一から考え直す必要があります。
もちろん大変な経験ですが、教員としての指導力やコミュニケーション能力を大きく広げる機会にもなります。
また、在外教育施設への派遣期間は基本的に3年間です。
限られた期間の中で、2年目には学校の中で中堅的な役割を担うこともあります。
日本の学校では数年かけて経験することを、短期間で経験する。
この環境が、若手教員の成長やリーダーシップの育成につながることもあります。
在外派遣の給与は?「給与2倍」と言われる理由
海外派遣を考えるうえで、給与や経済面は気になるポイントです。
現職教員が制度を利用して派遣される場合、国内の給与を受け取りながら、国から「在勤手当」が支給されます。
そのため、国内勤務時と比較して、収入が大きく増えるケースがあります。
場合によっては、「給与が2倍近くになる」と言われることもあります。
ただし、派遣制度や派遣先によって条件は異なるため、具体的な金額については事前に確認することが必要です。
また、注意が必要なのが「シニア派遣」です。
定年退職後などに派遣される場合は、現役教員として派遣される場合とは給与や手当の仕組みが異なります。
そのため、
「海外派遣=必ず収入が2倍になる」
と考えるのではなく、自分がどの制度で派遣されるのかを確認することが重要です。
「初期費用1,000万円」の噂は本当?海外生活に必要な費用
在外教育施設への派遣については、「海外で生活を始めるために、最初に多額のお金が必要になる」という話もあります。
その理由の一つは、現地で生活するための初期費用です。
例えば、
- 治安上の理由から車が必要になる
- 車の購入費が数百万円規模になる
- 家賃1年分の前払いが必要になる
- 家賃の前払いが300万〜400万円規模になる
といったケースがあります。
特に国によっては、外国人に対して家賃の長期前払いを求めることもあります。
そのため、初期費用だけを見ると「1,000万円近く必要になるのでは?」と感じるケースもあります。
ただし、これらの費用はすべてがそのまま消えていくわけではありません。
例えば、車は帰国時に売却できる可能性があります。
大切なのは、海外派遣を考える際に、
「毎月いくらかかるか」
だけではなく、
「最初にどれくらいの資金が必要か」
「帰国時にどのような資産が残るか」
まで含めて計画することです。
家族で海外派遣に行く場合、配偶者や子どもの生活はどうなる?
家族帯同での海外派遣を考える場合、教員本人の仕事だけでなく、家族の生活も非常に重要です。
特に、配偶者の仕事や子どもの教育環境については、事前にしっかり考えておく必要があります。
配偶者が感じる「時間のゆとり」と「孤独」
海外派遣に帯同する配偶者は、現地での就労に制限がある場合があります。
そのため、これまでより自由に使える時間が増えることもあります。
一方で、日本人コミュニティが小さい地域では、孤独を感じることもあります。
特に、
「教員の配偶者」
「学校の保護者」
という2つの立場を同時に担うことになると、人間関係の距離が近くなりすぎることがストレスになる場合もあります。
海外派遣を成功させるためには、教員本人だけでなく、配偶者を含めた家族全体の生活設計が欠かせません。
子どもの教育は日本人学校?現地校?インターナショナルスクール?
海外での子どもの教育には、さまざまな選択肢があります。
- 日本人学校
- 現地校
- インターナショナルスクール
それぞれにメリット・デメリットがあります。
今回のセミナーでは、
「言語能力だけがすべてではない」
という話もありました。
新しい環境に飛び込む勇気や、困ったときに情報を集める力、周囲に助けを求める力。
こうした力も、海外で生活するうえで重要になります。
また、MATSU氏のように、子どもをインターナショナルスクールに通わせた経験が、後のインターナショナルスクール経営や校長というキャリアにつながったケースもあります。
家族の海外生活が、結果的に本人のキャリアの可能性を広げることもあるのです。
在外派遣から帰国後のキャリアはどうなる?
「海外派遣に行くと、帰国後のキャリアに不利になるのでは?」
このような不安を持つ教員もいるかもしれません。
しかし、今回の登壇者のキャリアを見ると、在外教育施設での経験は、むしろその後の選択肢を広げるきっかけになっています。
海外で「外国人」として生活する経験
海外では、自分自身が外国人として生活することになります。
これまで当たり前だと思っていたことが、当たり前ではない。
言葉や文化、生活習慣の違いに戸惑いながら過ごす中で、物事を別の視点から見る力が身につきます。
そして、
「今の職場がすべてではない」
「自分の人生は、自分で選んでいい」
という感覚を持つようになる人もいます。
この経験が、帰国後の、
- 起業
- 異業種への挑戦
- 教育事業
- インターナショナルスクール運営
- オルタナティブスクールの立ち上げ
など、新たなキャリアにつながることがあります。
在外派遣は、3年間のキャリアの「空白」ではありません。
自分の人生やキャリアを見つめ直し、再設計するための時間にもなり得ます。
全国の教員とつながれることも、海外派遣の大きな魅力
在外教育施設には、全国各地から教員が集まります。
同じ地域で働き、海外生活の苦労や喜びを共有した仲間とのつながりは、帰国後も続いていきます。
自治体の枠を越えて、全国の教員とつながれる。
これは、在外教育施設で働くことで得られる大きな財産の一つです。
帰国後も、
「こんな教育実践をしている」
「こんな仕事に挑戦している」
と情報交換をしたり、互いの新しい挑戦を応援したりすることができます。
在外派遣で得られるものは、給与や経験だけではありません。
一生の財産になる人とのつながりも、非常に大きな価値です。
まとめ:在外教育施設への派遣は、教員のキャリアを広げる一歩
今回のセミナーを通して見えてきたのは、在外教育施設への派遣が単なる「海外勤務」ではないということです。
日本人学校や海外の教育現場で働くことで、
- 教員としての専門性を広げる
- 自分で考えて行動する力を身につける
- 全国の教員とつながる
- 日本の教育を外から見つめ直す
- 家族と新しい経験をする
- 帰国後のキャリアの選択肢を増やす
ことができます。
もちろん、海外生活には大変なこともあります。
給与や手当の仕組み、初期費用、家族の生活、子どもの教育など、事前に考えるべきことも少なくありません。
だからこそ、実際に経験した人の話を聞くことには大きな意味があります。
「今の職場がすべてではない」
そう気づくことが、教員としての新しいキャリアを考える第一歩になるかもしれません。
当コミュニティでは、今後も教員のキャリア形成や、海外派遣、起業、副業など、さまざまな選択肢について学べる機会をつくっていきます。
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